働き方改革!何が変わった?※第一弾
今、政府が方針として打ち出している
「働き方改革」
もうすでに2019年4月1日より働き方改革関連法が施行されている。
大企業は今年から、中小企業は来年からである。
しかし、みなさんは具体的にどのような取り組みを行っていて、労働に関する法律はどのように変わっていった予定なのかご存じだろうか?
私は知っている部分もいくつかあったが、今回の調べにおいて、新しい気づきや学びを得られた部分も多かった。
今回は
「知識ゼロからの働き方改革で変わる労働法入門」
(萩谷雅和 菅原修 著)
を参考に、
変わる労働法についてまとめたものを紹介していきたい。
まずは働き方改革において1番分かりやすい「残業の規制」から入っていこうと思う。
❶残業の新たな規制
日本は「残業大国」言われているが、それには2つの理由がある。
◆年功序列、終身雇用で会社に生涯を保障されていると感じているため、
会社のために献身的に働こうという意識が強く、会社もそれを当然と思っていた。
◆法律上残業時間に上限規制はあったものの、
「強力な指導」のみで、
「法律上の罰則」は無かった。
これにより、労使の合意があれば実質青天井で残業させることができてしまった。
しかし、過労死や過労自殺、うつなど心身の健康被害が問題視されたり、
年功序列・終身雇用の仕組みが崩れてきたことで、
働き方を大きく見直すべきだという意識に変わった。
では、具体的に何が変わったか。
【今までは】
◆36協定を労使で結んだ場合、
残業の上限は月45時間、
年360時間
となるが、
超過しても罰則は無かった。
◆「特別条項付き36協定」を結べば、
上記の上限規制を延長させることが可能。
しかも延長する時間は労使間の合意に委ねられていた。
【これからは】
◆2020年4月から、上記に違反した場合は、
「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」
が科せられるようになる。
◆時間外労働に2段階の上限を設定。
原則月45時間以内、
年360時間以内
ただし臨時的な特例として労使協定を結べば、
年720時間まで認められる。
◆今まで適用外だった
建設業界
自動車運転業務
研究開発業務
鹿児島および沖縄県における砂糖製造業
医師
などにも規制が設けられる。
※ただし、これらは5年の猶予期間がある。
◆時間外労働の割増賃金率が上がる。
時間外労働
◾️法定労働時間を超えたとき
25%以上
◾️時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき
50%以上!
◾️法定休日に労働させたとき
35%以上
深夜労働
◾️22時〜翌日5時までに労働させたとき
25%以上
2023年4月から中小企業にも同様に適用され、
違反すると罰則のようだ。
このように残業に関する規制がかなり厳しくなるとのこと。
もちろん経営者の業務調整や、ビジネスモデルの見直しも必要だが、従業員1人1人の意識改革や優先順位の設定、スピード感の把握なども重要になってくるであろう。
❷正規社員と非正規社員との待遇格差の是正
これまでの日本では、
一般に非正規社員の収入は家計の補助と見られ、
企業側は安価な労働力として、
非正規社員を雇用の調整のための人員と思ってきた。
ところが、雇用者に占める非正規の割合が
4割近くに上り、
非正規の収入だけで生計を立てる人も増えてきたため、
処遇の低さや立場の不安定さに不満を持つ社員が増えてきた。
よって、政府は非正規社員と正規社員の待遇格差を是正する「同一労働、同一賃金」を進めている。
具体的な策としては、
①基本給、昇給の不合理な差をなくす。
年齢・勤続年数・業務内容・職業能力・業績
などによって給与が算定されるが、
基本給の算定条件を同一にするように定めている。
雇用形態によって合理的に説明できない格差があると、違法となるようである。
②通勤手当に食事手当など、
各種手当も同一に支払う。
また時間外手当や休日、
深夜手当についても法定賃金であり、
割増率も同一でなければならない。
③福利厚生施設や教育訓練の機会も同一
社員食堂が「正規社員は割引、非正規社員は割引なし」などの対応をしてはならない。
ただし、勤務が午前のみのパートタイマーなら、
食堂が利用できなくても問題にはならない。
そのほか、転勤者用社宅や、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除、有休保障、病気休暇、法定外年休についても同一にしなければならない。
また、派遣社員は派遣先の社員と同一待遇でなければならず、
今回の法改正で「努力義務」から、正式に義務化されている。
定年後の社員も、職務の内容や配置の変更範囲(転勤など)が変わらなければ、
定年前と同一の待遇が求められる。
今回の法改正によって、従業員は格差是正を求める訴訟を起こしやすくなるとのこと。
無料で利用できる裁判外紛争解決手段なども整備されている。
企業側としては、職務が同じでも責任の範囲や勤務条件が異なれば、待遇差は認められるため、
「休日労働は正社員のみ」
「お金がかかることについては正社員が決裁する」
など条件の違いがあれば、待遇差は認められるという。
改正法の施行は2019年より段階的に行われていくようで、企業側は対策を迫られている。